RSさん(5)米国の看護現場で求められる判断力と相手の言語で開く心の扉

RSさん(5)米国の看護現場で求められる判断力と相手の言語で開く心の扉

2026年7月1日掲載

RSさんの前回の体験談はこちら

アメリカの老人ホーム(Long-term care facility)で看護師として活躍されている方の体験談です。医師が常駐しない環境での緊迫した判断や、多言語国家ならではのコミュニケーションの工夫について語っていただきました。

1. 医師不在の現場で試される「看護師のアセスメント」

アメリカの老人ホームでは、基本的に看護師が現場を動かしています。特に医師が不在となる夜勤帯では、看護師の判断一つが患者さんの生死を分けることも少なくありません。

  • 緊迫の夜勤:心臓発作の疑いへの即座の判断

    ある夜、心臓発作を疑わせる症状を呈した患者さんがいました。深夜で医師の返答もすぐには期待できない状況。私は再度アセスメントを行い、即座に「緊急事態」と判断して911(救急)を要請しました。

  • 自覚症状のない高血圧への対応

    また別の夜には、自覚症状はないものの、極めて高い血圧を示し続ける患者さんがいました。経験豊富な先輩と相談しながら、たとえ本人が元気そうであっても、医療的介入が必要であると判断し、医師に繋ぎました。

こうした経験を通じ、アメリカで働く看護師には、単なる業務遂行だけでなく、高いアセスメント能力と、自らの判断に責任を持つ覚悟が求められると痛感しています。

2. チーム医療の要は「報告・連絡・相談」

限られた人数で現場を回すアメリカでは、コミュニケーションこそが安全を守る要です。 「一人が知っていても次の人が知らない」という状況は、重大な判断ミスに直結します。他職種や同僚看護師との密な連携は、ミスを防ぐための最低限かつ最大の防護策だと日々実感しています。

3. 患者さんの心の扉を開く非言語と多言語の工夫

老人ホームでは、病院とは異なり、数ヶ月から数年という長い時間を患者さんと共に過ごします。信頼関係を築くために私が行っているのが、相手の第一言語を会話に取り入れることです。

私の施設には、英語が十分ではないスペイン語圏の患者さんも多くいらっしゃいます。

  • 「Hola(こんにちは)」

  • 「¿Tienes dolor?(痛みはありますか?)」

たとえ完璧ではなくても、まず相手の言語で挨拶をするだけで、患者さんの表情はぱっと明るくなり、その後のケアにも非常に協力的になってくれます。忙しい中でも冷静さを保ち、入室前の除菌から笑顔の挨拶まで、「相手と同じページに立っていること」を常に心がけています。

これからアメリカを目指す方へ

アメリカでの看護は、責任の重さに比例して、自分の判断で患者さんを救えるという大きなやりがいがあります。技術や知識はもちろんですが、それ以上に相手を理解しようとする姿勢と、勇気を持って一歩踏み出す判断力を磨いておくことが、現地での活躍を支えてくれるはずです。

KMさん (4) 日本で看護師をしていて思うこと ―丁寧な「観察」という強みと、自律への課題―

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