KMさん (4) 日本で看護師をしていて思うこと ―丁寧な「観察」という強みと、自律への課題―

KMさん (4) 日本で看護師をしていて思うこと ―丁寧な「観察」という強みと、自律への課題―

2026年6月15日掲載

KMさんの前回の体験談はこちら

日本の看護師が誇るべき「丁寧な観察眼」

日本の看護師の最大の強みは、患者さんを身体面だけでなく、あらゆる側面から非常に丁寧に観察している点にあると感じます。

私は現在、看護教員として学生たちに「頭から足先までの身体観察」はもちろんのこと、患者さんが発した「言葉」だけでなく、その「しぐさ」までも注意深く観察するよう伝えています。

  • 「しわ一つ」がケアの質を変える ベッドの高さやシーツのしわ一つにまで気を配る。これは、患者さんの安全と安楽を第一に考える日本の看護師ならではの細やかな配慮です。

  • 生活リズムに合わせたかかわり 例えば、患者さんが離床したタイミングを見計らって環境整備を行うといった動きは、日頃から患者さんの行動をよく観察していなければできません。こうした「他者を思いやる心」こそが、真の患者中心の看護に繋がっています。

家族をも包み込む「看護の対象」

日本の看護は、患者さん本人に留まりません。長年介護を担ってきたご家族の思いや、その方自身の健康状態に対しても、同じように看護の対象として丁寧に接する文化があります。この「家族への寄り添い」も、日本の看護が持つ温かさの一つです。

今後の課題:医師との関係性と「裁量権」

一方で、日本の医療現場には依然として「看護師は医師の指示を待つもの」という依存的な環境が残っていることも事実です。

かつて私が勤務していた大学病院では、看護師が医師と対等に意見を交わす文化がありましたが、多くの現場では、看護師が意見しすぎることが必ずしも好意的に受け取られないケースも見てきました。

  • 苦痛緩和のスピード感 ある終末期患者さんの実習でのこと。強い苦痛を訴える患者さんに対し、看護師が医師へ報告・相談を重ねてようやく鎮痛薬が処方されましたが、もし看護師に、より大きな「裁量権」があれば、もっと早くその苦痛を和らげられたかもしれません。アメリカなどの諸外国と比較した際、この「自律した判断と実行」の幅広さは、日本の看護が向き合うべき大きなテーマです。

看護の未来を担う方々へ

現代の看護現場は業務が多岐にわたり、若手看護師がじっくりと思考を深める時間を確保しづらい状況にあります。しかし、だからこそ「なぜこのケアが必要なのか」という根拠(アセスメント)を大切にしてほしいと願っています。

看護留学などの新しい挑戦に年齢や実績は関係ありません。正確な情報を得て、一歩踏み出す勇気を持つこと。それが、皆さん自身の看護観を広げ、より豊かなキャリアを築く第一歩になるはずです。

Chiakiさん (7) 日米の看護師の違い — 両国での勤務を体験して

Chiakiさん (7) 日米の看護師の違い — 両国での勤務を体験して