Chiakiさん (7) 日米の看護師の違い — 両国での勤務を体験して
2026年5月15日掲載
Chiakiさんの前回の体験談はこちら。
主体性・責任・文化、現場で感じた日米の看護師のリアルな違いとは?
■ はじめに
日本とアメリカ、二つの医療現場で看護師として働く中で、私が最も強く実感したのは、看護師に求められる“主体性”と“責任の重さ”でした。制度や業務内容の違いだけでなく、日々の判断・コミュニケーションの質から、患者さんとの関わり方まで、その差はさまざまなところに現れます。
実際に日本とアメリカ双方で勤務して感じたリアルな違い、そして働く中での苦労や学び、今後アメリカで看護師を目指す方へのメッセージをまとめました。
1.臨床判断と主体性に表れる大きな差
● 日本:医師の判断を軸に動くチーム体制
日本の病院では、看護師はチーム医療の一員として医師の指示のもと動く場面が多くありました。例えば、軽度のバイタルサインの変化に気づいたとしても、まずは経過観察を行い、必要時に医師へ報告する流れが一般的です。
看護師のアセスメントは重要ですが、最終判断は医師が行うという文化が明確に存在していました。
● アメリカ:看護師自身の判断が前提
一方アメリカでは、状態変化を見つけた際、以下が求められます。
何が起きているのか
どのように評価したか
何を提案するのか
これらを“看護師の判断”として明確に伝えることが前提です。わずかな食欲低下や倦怠感から異変を疑い、医師へ具体的な提案を添えて連絡した際、看護師の臨床判断が尊重される環境であることを強く実感しました。
2.患者(入居者)との関わり方の違い
● 日本:家族と相談しながらケア方針を調整
日本では家族の意向を重視し、本人と家族のバランスをとりながらケアを調整する場面が多くあります。
● アメリカ:本人の意思が最優先
アメリカでは患者本人の意思が最優先され、たとえ家族が別の意見を持っていても、最終決定権は本人にあります。看護師はそのための情報提供者・アドボケーターとしての役割が大きく、文化の違いを強く感じる部分でもありました。
3.役割分担と責任範囲の明確さ
アメリカでは
RN(Registered Nurse)
LVN
CNA
などの役割が明確で、ライセンスの範囲がはっきりしています。日本のように状況に応じて幅広く動く柔軟さは少ないものの、責任の所在が明確で効率的な点は大きな特徴でした。
4.苦労したこと:即時性のあるコミュニケーションと記録文化
アメリカで最も苦労したのは英語よりも、医療現場特有の即時・論理的なコミュニケーションでした。
結論
根拠
提案
を簡潔にまとめて報告する必要があり、大きな緊張を伴いました。また、法的な観点からドキュメンテーションの量と正確さが非常に求められ、日本との違いに慣れるまで時間を要しました。
5.日本での経験が強みになった瞬間
日本の現場で培った以下の力は、アメリカでも大きな強みとなりました。
細かな変化に気づく観察力
丁寧なケアの積み重ね
多忙な中で優先順位を判断する力
チーム全体を見て動ける視点
医療制度が違っても、看護の基本姿勢は共通しており、日本での経験が確かな土台になっていると感じています。
6.アメリカで看護師を目指す方へ伝えたいこと
アメリカで働く上で大切なのは、英語力以上に
自分の考えを明確に伝えること
分からないことを確認する姿勢
安全を最優先に判断すること
です。
また、医療英語・記録様式・患者の権利・医療倫理について事前に理解しておくことで、現場への適応が格段にスムーズになります。
アメリカでの看護は責任が重く決して簡単ではありませんが、自律した専門職として成長できる機会が多く、自分の看護の幅が確実に広がっていくと感じています。
■ おわりに
日本とアメリカ、それぞれの医療には異なる文化や価値観が存在します。しかし、その違いに向き合い学び続けることで、看護師としての視野が大きく広がりました。
これからも日米両方の経験を糧にしながら、目の前の患者さんにより良いケアができるよう成長していきたいと思います。



