Nさん(8)3交代・90床病棟で働きながら感じたこと

Nさん(8)3交代・90床病棟で働きながら感じたこと

2026年5月1日掲載

Nさんの前回の体験談はこちら

私の一週間の働き方と病棟体制

現在、私は週5日・3交代制(07:00–15:30 /15:00–23:30 /23:00–07:30)で勤務しています。
シフト希望は基本的に出していないため、月ごとに勤務時間は変動。病棟はA・B・Cの3チームに分かれ、担当は日替わりです。90床以上の病棟を行き来するため、働き始めた頃は患者さんの名前や状態を覚えることにとても苦労しました。
日中シフトが多い日は空き時間に英語学習、休みは家族との時間を大切にしています。アメリカに来てからは、いわゆる「今日は何もしないで過ごす」という日はほとんどありません(笑)。

日米で最も大きく違う、と感じたこと

1. 「患者の自己決定」がより強い

アメリカでは、患者の意思が治療方針に強く反映されます。
たとえばインスリンスケールがあっても、患者さんが「この数値なら打たない」と自己判断で拒否する場面に頻繁に遭遇します。リスクを説明しても頑なに拒否するケースも多く、薬剤全般でも同様です。十分な説明の上で、最終判断は患者自身という姿勢が、非常にアメリカらしいと感じます。

2. RNに要求される「即時の判断力」

私の職場はLong-Term Care(LTC)型の病院で、緊急時は911をコールします。
その際、どこまでモニタリングするか/今呼ぶべきかなどをRN Supervisorが即時判断する場面が多いのが日本と大きく異なる点。日本では医師判断に準拠する場面が相対的に多い一方、アメリカではRNのアセスメントと判断が前面に出る印象です。もちろん医師に相談もしますが、時間的猶予がないケースでは、LVNやCNAへ業務委託しながらチームで動く必要があります。

英語コミュニケーションの壁と、乗り越え方

勤務後は必ずその日うまく伝えられなかった表現を振り返ります。
「別の言い回しは?」「もっと自然な表現は?」と考え、短く・分かりやすく患者さんやご家族に伝えるための表現を地道に磨いています。簡単な表現の確認はAI(ChatGPT)も活用しますが、対人に適した短い説明はまだ難しく、英会話レッスンで講師と復習しています。

最近の例では、拡張期血圧を説明する際、「心臓が拡張する」の“拡張”に当たる語が瞬時に出てこず苦戦。講師から「expand でもいいし、relax でも伝わるね」と助言を受け、「なるほど!」と納得。身近な語を使う発想は、現場で非常に役立ちます。

現場文化のギャップ:時間と“妥協”の感覚

驚いたのは、同僚の約8割が定時を過ぎても来ないことが珍しくないという点。
30分〜1時間の遅刻も見受けられ、その結果次シフトの残業が発生することも。さらに、患者の治療拒否は強く、「粘り強く説明しても断固拒否」という場面が多々あります。怒り出す患者もおり、ある程度の妥協が必要なことを学びました。
患者の拒否権は日本でも同じですが、「拒否されたら尊重する」という文化の徹底度はアメリカの方が高いと感じます。いまは、説明は全力で、粘り過ぎは避けるというバランスを心がけています。

毎日が全力疾走。それでも前へ

英語の電話対応を含め、RNとしての対外コミュニケーションはまだ苦戦中。
人生でここまで忙しい時期は初めてで、心が折れそうになる日もあります。それでも、夢と家族の支えがあるから、「もう一歩頑張ろう」と思えます。将来の専門領域は検討中ですが、NP(Nurse Practitioner)資格の取得を視野に、いまの経験と英語学習を次の糧にしていきます。

完璧じゃなくても、疲れていても、少しずつ前へ。この体験談が、新しい環境に挑戦する方や、忙しさの中で踏ん張っている方の「自分ももう少し頑張ってみよう」のきっかけになれば嬉しいです。

HTさん (2) 勤務とNCLEX勉強の両立:私のやり方と続けるコツ

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