コロナ禍での遠距離介護(1) - 日本に緊急帰国しました

コロナ禍での遠距離介護(1) - 日本に緊急帰国しました

2021年4月1日掲載

皆さんがこのコラムを読んでいる頃、私はアメリカに一旦戻るためにLAX行きの飛行機に乗っているはずです。実は、2月17日に母が緊急入院することなり、約1カ月間、日本に帰国していました。仕事柄、アメリカでの医療事情や病院のシステムについての知識はあるものの、日本では経験がなく苦労の連続でした。今回は、コロナ禍での緊急帰国、そして入院や介護事情などについてお届けします。

3月初旬に緊急帰国。PCR検査や準備でてんてこ舞い

とにかく突然のことだったので、準備が大変でした。わずか10日ほどの間に、まず毎年お世話になっている会計士さんに無理やりお願いし、4月15日までに確定申告をするための準備(現在、5月17日に締め切りが延長されました)と税務関係の手続き、そして3月末に渡航してくる看護留学生のサポートは、空港出迎えの手配や銀行口座開設、滞在する寮の案内などを含め、Zoomセミナーに現役看護師として質疑応答コーナーに参加していただいている弊社新スタッフのAzusaさんにお願いしました。コロナ禍で多忙を極める中、快く引き受けてくれたAzusaさんには本当に感謝しています。

また、医療英語受講クラスも3月半ばから2クラスが開講するため、全てスタッフにお願いしました。そして帰国2日前に、カリフォルニアの看護大学に編入予定の生徒たちの入学手配についてメールのやり取りをしていたのですがなかなか思うように進まず、結局車で往復5時間をかけて看護大学2校を訪問し、全てできるだけのことは済ませてから、ようやく帰国の日を迎えました。

コロナ禍の帰国で、最も気になるのがPCR検査です。まずは、厚生労働省のウェブサイトで質問票(https://arqs-qa.followup.mhlw.go.jp/#/)に回答し、PCR検査を72時間前に受けます。検査を受ける場合、陰性証明書が必要になるのですが、厚生労働省の指定フォーマットのほかに、検査を行う医院や各機関でも独自の証明書を発行して欲しいと言えば作成してくれます。費用は、証明書発行が無料のところもあれば、有料(225ドル)のところもあります。

以下は、LAX(ロサンゼルス国際空港)の受付カウンターでももらうことができます。
◉出国前検査証明・誓約書
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html

◉ロサンゼルスから日本に行く際のトラベルフォーム
https://travel.lacity.org/

日本到着

出発当日、LAXのトム・ブラッドリー国際ターミナルはガラガラで、私が乗った日系の航空会社は、真ん中の4席に乗客1人という状態だったので、機内ではずっと横になって眠ることができました。乗客数はたったの18人でした。羽田空港に到着後、係員の指示に従って検査を進めていきました。PCR検査証明書を見せたのはLAXのカウンターと羽田空港内のみです。私は到着後、入国審査前にガムを噛んでしまったため、唾液検査の際10分間待ち、それから検査をしました。結果待ちには1時間を要しました。検査が終わり、ようやくスーツケースを取りにいこうと思ったら、既に乗客者全員の名前が貼ってあったカートが用意されており、それに荷物が載っていて、そこからは本当にスムーズでした。

税関を通り空港の外に出たところで、栃木県の実家から車で迎えが来ていました。現在、空港から自宅などに行く場合、公共機関を利用しなればならない人は、ホテルで2週間の滞在を余儀なくされます。私にも2週間の待機期間はありますが、実家で過ごすことができました。その後2週間の間、毎日午前11時ごろに厚生労働者からメールが届き、午後2時までに返信する必要があります。

質問事項は、以下の2つです。

(1)37.5度以上熱がありますか?

(2)濃厚接触者はいますか?

いずれも回答して送信するとそれで終わりです。


母の入院そして介護準備。激動の1カ月

今回、母の病気の知らせを受け急きょ帰国した私は、到着後、母の検査結果を聞くために、医師の承諾を得て、病院と実家で行ったFace Timeミーティングに参加させてもらいました。母は「難病」と診断されました。

驚きと悲しみ、そして焦りなどさまざまな感情が入り混じる中、偶然にも母が検査入院していた時の担当看護師の1人が、弊社に1年ほど前にお問い合わせ頂いた看護師さんだということが分かりました。あまりの偶然にとても驚きましたが、気持ち的にとても楽になったのを覚えています。また、担当主治医や自治医大の看護師、そしてソーシャルワーカーもとても熱心で素晴らしい方ばかりでした。

2週間が過ぎて自宅待機が解除となった際、担当医より、自治医大大学で直接顔を合わせて説明したいと言われていたので、時間を合わせて向かいました。そこで、担当医と看護師、地域のソーシャルワーカー、そして担当医の補佐の5人から説明を受けました。こちらが用意していた23にもおよぶ質問に対しても、できる範囲で回答して頂きました。アメリカでは医療ミスの訴訟が多いことを担当医も知っていたせいか、とても慎重に一つ一つ検査結果の数字を基に説明してくれました。

驚いたのは、大学病院だというのに、英語での表記が無いことです。医師に聞くと外国人患者はほとんどおらず、必要であれば通訳同行で来院するということでした。これでは外国人は簡単に病院に行くこともできないと思いました。そうこうしているうちに、あっという間に介護/医療保険、訪問看護、難病申請、介護器具、保健所、市役所など、母の退院後の生活を円滑に進めるための手続きを完了することができました。また、週3回の食事配達も予約しました。


滞在中の個人カウンセリングと今後の予定について

病院に通いながら、3月半ばからは、事前に予約をして頂いた皆さんとの個人カウンセリングを開始しました。相談内容は多岐にわたり、国家試験発表を待たずして自己採点で合格という方、現在アメリカで主婦業に専念しているが、コロナ禍でまた看護師として働きたいため書類を作成したいという方、そして永住権を取得し15年以上住んでいるがキャリアチェンジして看護師になりたい方、語学留学しているがコロナ禍で帰国せざるをえない方など、本当にさまざまで、忙しい毎日を送りました。実は4、5月にZoomセミナーと質疑応答の開催を予定していましたが、このたび急きょ家族の都合もあり、延期しようと考えています。今のところ、6~7月をめどに日時を調整中で、決まり次第、このウェブサイトでもお伝えします。

私の両親は共に80歳を超えていますが、これから恐ろしい病気と闘う日々が待っています。日に日に衰えていく母は、夜になると痰が切れにくくなり、苦しいのだろうと思うと私も眠れません。父のことも気にかかります。80近くまで洗濯も食事の支度もしてこなかった典型的な昭和の父親です。昨年9月に帯状疱疹を発症し、先日知り合いの看護師に頼んでワクチンを接種してきました。医療に関することは、医師や看護師に頼るしかありません。私たち家族ができることは、精神面のサポートだと思っています。

私は6月にまた日本に帰る予定ですが、私がいない間は、父が1人で家事をやることになるので心配は残ります。しかし、今の私ができることを最大限にそしてベターではなく、ベストを尽くしていきます! しばらくは、訪問看護とケアマネも全て看護師に依頼することにしました。24時間体制でEメールでもやり取りしてもらえるようになり、私も父も少し気持ちが軽くなりました。

いつまでも両親には長生きして欲しいので、ここは踏ん張りどころ。頑張ります!

※日本帰国時の規定や情報は、2月下旬のものです。

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人影もまばらなLAX国際ターミナル。

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日本入国前に、厚生労働省の質問表Webにアクセスできます。

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羽田空港到着後も、検査を行いました。

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実家に到着。自宅待機中は、楽しみにしていたコンビニスイーツでストレス解消!

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母の病気で訪れた自治医科大学付属病院。

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今後、母の本格的な治療が始まります。鍼灸治療の様子です。

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弊社日本スタッフの斎藤と宇都宮大学を訪問した際に、桜の下で記念撮影。きれいです!

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教職時代の同僚と久しぶりに再会。

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趣味でハチミツを作っている父。絶滅が危惧されている二ホンミツバチのハチミツは最高に美味しいです!

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現役看護師で弊社スタッフのAzusaさんが、留学生の対応を行ってくれました。LAXお出迎えの様子です。入国時にも全く問題はありませんでした。

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生活のインフラを整えるため、銀行に同行し口座開設のサポートを行いました。

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【締め切りました】2021 ZOOM セミナー開催★ アメリカで看護師になりたい!看護留学セミナー ★

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気になるコロナ禍でのアメリカ看護留学・医療業界最新事情

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