KMさん(4)日本で看護師をしていて思うこと

KMさん(4)日本で看護師をしていて思うこと

2026年9月15日掲載

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観察が丁寧な日本の看護師

これまで日本で看護師をしてきて思うのは、多くの看護師が、患者に対して身体だけではなく、あらゆることに対して非常に丁寧に観察しているということだ。私自身が看護師として働いていた時も観察を大事にしていたが、看護教員として働いている現在でも、患者の身体観察も頭から足先までしっかり観察することや、患者の発した言葉だけではなく、しぐさも注意深く観察するように学生に声かけをしている。

丁寧な観察をすることで、看護ケアも患者に合ったケアへと変容し、患者の安全や安楽を念頭に、ドレーンなどのルート整理にも気を配ることが可能となる。ベッドの高さや、シーツのしわ一つとっても患者の安全・安楽を脅かすものには細心の注意を払うことができるのは日本の看護師の良いところだと感じる。

例えばベッド上臥床の多い患者がトイレやシャワーなどで離床したタイミングで、シーツ交換やベッド上周辺の清掃をすることがあるが、これらは患者の生活習慣や行動のタイミングをよく観察していないとできないことであり、時には清掃の方にも協力してもらうこともある。このように他者を思いやることは、患者中心の看護につながっているのだと思う。

丁寧な観察や細やかなケアは患者家族に関しても同様である。家族も患者と同じように看護する対象と考えているし、介護してきた家族の思いや身体状況に対しても丁寧に接することは多い。

日本の看護師の課題

しかし良いところだけではなく、課題もある。多くの場合、看護師は依然として医師のもとで働いているように感じることだ。

私が最初に入職した大学病院は、師長や主任、チームリーダーのナースが比較的医師に意見するような環境だったので、医師に対して対等に接する場面をよく目にしていた。しかし大学病院を退職後、様々な医療現場で勤務してみると、看護師が意見しすぎると医師に好意的に受け取られないケースが多々あった。

現在でも医師に依存しているような環境はよく見られ、看護師は医師にコンサルトはしても、医師の都合や指示があって初めて動けることが多い。アメリカに比べると看護師の裁量は少ないと感じており、実際に、慢性期看護学の実習時、学生が受け持っていた大腸がんの終末期の患者は常に身の置き所のなさを訴えていた。学生が実習指導者や受け持ち看護師に報告し、何度か医師にコンサルトしてようやく鎮痛薬を処方されたが、看護師がより大きな裁量権を持っていれば、より早く患者を苦痛から解放することができたかもしれないと悔やまれる。

また看護師に対して患者の人数が多く、業務が非常に多岐に渡るため、プライベートに時間が割けなくなっていることや、休みを取りづらい文化も根強く残っているように思う。責任感を持って働いているのは素晴らしいことだと思うが、それによって休みをしっかり取れず、精神的に疲弊してしまうことも少なくない。

昨今、入院期間が短期化する中で、看護師がしっかりと休めるような工夫は徐々に進められているが、業務量は変わらず、記録に対して時間を削るような対策になってしまっている。労働時間削減を推進する中で、看護師が自主的に勉強してくるよう伝える機会も減ってしまっており、実習をしていても実習指導者の方から看護師のアセスメント能力が落ちてしまっているとの声をよく耳にするようになった。特に経験年数の若い看護師に顕著であるようで、その場その場でのアセスメントが必要であっても、勉強が進んでいないために思考を深めることができない。さらに残業時間の制限もあり、記録や勉強に時間を割くことができなくなってしまっている。

この問題に対して、学生が自身で考えてきた計画をしっかり根拠を持って他者に伝えることができるように指導している。病態関連図や日々の行動計画、行動計画に対するSOAPは学生たちにとって非常に心身共に負荷のかかる課題である。学生である期間は間違ってもよいということを伝える一方で、患者の身体はどういう状態なのか、計画立案の根拠は何かを言語化できるように取り組んでいる。学生たちは根拠がわかるようになると患者に対して自信を持ってケアができ、なぜこのケアをするのかという説明もできるようになる。このことは彼らが実際に臨床で働き始めてからも大切な能力となると思うので、十分に時間のある学生の時から経験してもらっている。

これまでの日本の看護師の良いところを伸ばし、課題を克服できるような対策が学部教育から必要であると考えさせられる状況である。日本で看護師をされている方々が細かな観察と気遣いをしつつ、アメリカでも医師と意見が食い違うこともある場面は多々ある中で、ケアなどにはしっかりと根拠を持って、患者や患者家族にとっての擁護者として存在できるとよいと考えている。

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