H. O.さん (2) 永住権取得までの道のり
2020年4月24日掲載
H. O. さん BSN、MSN
《プロフィール》
名古屋市立大学卒業後、大学付属病院のICU/CCUで勤務、院内のCPR/ACLSのインストラクターや外来看護に携わる。日赤医療センター献血ルーム勤務を経て、アメリカのテキサス州にてオーペアプログラムに参加。再渡米し、4年制大学の健康教育学部を経て、公衆衛生修士号を終了。地域の公衆衛生と研究に携わる。
H. O. さんの以前の体験談はこちら。
アメリカでの看護師への道のりはとてもながく試行錯誤の連続でしたが、結果がどうであれ、挑戦し続ける姿勢が大事という一言につきると思います。失敗は怖いものではなく、自分を強くしてくれる栄養剤のようなもの。やらなくて後悔するより、やってみてそこからまた立ち上がって進み続ける力があれば、自分で歩んできた道は自分の自信と強さになり、結果どこで看護をしていたとしても、看護本来の目的や自分の目指す看護はできると思います。
ただ、アメリカの永住権取得は、誰もが言うように簡単ではないですし、憧れやお金目的だけで渡米することはお勧めできません。取得した後もいろんな課題がやってくるのでそれがゴールではなく、その先に何をしたいか明確な目標がないと、どこかで必ずその壁に直面するからです。
正規のルートで看護大学へ入学しようと思えば、最低2年は基礎科目といって解剖学や数学、歴史などからやり直さないといけないですし、看護学部に入ってからも実習や宿題が多く、経済的にも収入がない日々が続くので精神的な負担も増えてきます。運がよければOPT中にスポンサーしてくれる施設を見つけられる人もいるかもしれないですが、ほとんどの場合、その短期間で自力で見つけるのは難しいと思います。
やっと見つけた就職先の労働条件も必ずしも日本よりいいところに働けるとは限らないですし、差別や格差が日本よりあります。裏技を使って英語から逃れられることもないです。職場での医師の指示や患者さんと会話する上でも、やはりTOEFLで高いスピーキング力を必要とするのには理由があると思います。何事においても近道というものはないです。
永住権の申請をする上で最も重要になってくるのがスポンサーをしてくれる施設を見つける事です。
それなしでは、
いくらアメリカの看護免許をもっていてもVISAスクリーンが通っていても、そこから先へは進められません。
アメリカ滞在が長いほど、移民局から必要とされる書類が多くなり、私のケースは何度も追加書類の要請がありました。経験のある専門の弁護士の方の助けなしでは自分一人では対応しきれなかった事が多々ありますし、移民法は日々変化しているので、自分で調べることも大事ですが、専門の人に相談するのが一番だと思います。
学生時代を振り返って思うことは、いろんな経験が自分の糧になった事です。ターム制のクラスは3ヵ月毎なので授業の進むペースも早く、宿題とテストが多く大変でした。実習も車がなかったので、朝7時に現地集合するのに始発の地下鉄とバスを乗り換えたり、友達とUberで相乗りしたりして乗り切りました。辛いとき、悲しい時に話を聞いてくれ、一緒に笑える友達がいたことは大きな心の支えになりました。一緒に頑張っている友達がいたから乗り越えられたと思います。また、いろんな葛藤や苦しい経験を経ることで、相手の心の痛みや悲しみにより深く寄り添うことができ、相手を思いやる大切さを知ることができると思います。
クラスのグループワークも多くあり、チームメンバーに恵まれる時もあればそうでないときもありましたが、社会生活の中ではそれは常に起こること。その中で、どうやったらメンバーそれぞれの力を活用してチームワークを高められるか、どうやったらいろんな課題を一緒に乗り越えられるかを考える力(経験)を培うことは、看護師として働く今でもとても役に立っていると思います。CNAやLVNなどいろんな職種や人種の人が働く中、自分の常識が常に正しいとも限らないですし、自分の期待したように相手が動いてくれない時もあります。
RNとして働く上で、チームをまとめる力は、力やルールで縛り付けたり、強要するものではなく、お互いを尊重しあってそれぞれの役割やできることを助け合えるようにする力だと思います。
私の場合は、ありがたいことに星さんのおかげで卒業後すぐにOPTで仕事を開始できました。通勤に必要な車もなかったですし、住む場所が暫くなく、職場の人の部屋を借り新しい仕事でも責任が重いポジションで覚える事が沢山あり、激変する環境でやっていくのが大変でした。それでもやってこれたのは、いろんな人が助けてくれたからだと思います。
アメリカで看護師として永住権取得できたことに本当に感謝しています!
未だに激務の日々は続いていますが、毎日学びながら自分ができることに一生懸命取り組んでいます。
そして、星さんをはじめ今まで助けてくれた仲間や先生方への感謝の気持ちを忘れずに、看護を通して恩返ししていきたいと思います。
卒業式
公共衛生のイベント