アメリカで看護師になりたい人必読!その選択でホントに大丈夫?(2)「語学留学」 

アメリカで看護師になりたい人必読!その選択でホントに大丈夫?(2)「語学留学」 

2022年6月2日掲載

「アメリカで看護師として働きたい」という目的を持った人から、日々たくさんのご相談のEメールをいただきますが、中でも近年はオペア(アメリカで看護師になりたい人必読!その選択でホントに大丈夫?(1)「オペア」)や語学留学を経験した人からの相談が増えています。看護師として働きたいのであれば、看護学校に進学することが最短ですが、相談者の多くは、渡米に際し最も不安な項目として英語力を挙げており、そのため、看護学校に進む前に語学学校、またはオペアでしばらくの間アメリカで生活をしてから看護学校に進学したいと話す人が非常に多いのです。

今回のコラムでは、語学留学について説明します。

語学留学とは

アメリカでの語学留学とは、いわゆる「英語を学ぶ」ために渡米することです。主に、学生ビザを取得して渡米する場合は、週26時間以上クラスを受講するフルタイムの学生でなければならないことが多いです。3カ月以内の滞在であればビザは必要なく、パートタイム学生として12時間以内でクラスを受講することが可能です(ビザなどについての詳細は、弊社でのコンサルテーションまたは弁護士などの専門家にご確認ください)。滞在中にホームステイをしたり学校の寮に滞在したり、ハウスシェアやルームシェアをしたりすれば、アメリカの生活を楽しむこともできるでしょう。

アメリカでは現在、SSN(ソーシャル・セキュリティー・ナンバー)を取得できる語学学校はなく合法的に働くことはできません(コミュニティーカレッジや大学に通い学位を取得すると、1年間のオプショナルトレーニング期間に働くことが可能になります)。アメリカの語学学校は、オペアと違って年齢制限がなく、さまざまな言語を話す人たちと共に英語を学ぶことになります。英語を学ぶだけなら費用を抑えたい人にはうってつけの留学方法と言えるでしょう。

看護師業務に必要な英語力は身につくのか

語学留学で渡米してきた人たちの多くは、5年間の学生ビザを取得しています。学校に通い真面目に勉強していれば現地での生活に必要な英語力は付くものの、専門用語を学ぶわけではありません。しかし、看護師として看護学校や看護大学に進学するためにはかなりの語学力が、しかも医療英語が不可欠です。看護学校に進学したものの授業についていけず、ここでつまづいてしまう人も少なくないのです。もちろん、英語を学ぶことはよいのですが、看護師の資格を取るためにはその後看護学校や看護大学に進まなければならないため、語学学校を出た後のことを考えておく必要があります。

語学留学から看護留学に変更は可能か

弊社では、昨年12月から今年5月までのわずか半年の間に、現在アメリカで語学留学している14人の方からご相談を受けました。実は、14人のうち10人はすでに弊社の初回無料アポを受けたことがある方々で、以下のように再度相談してきた理由を挙げています。

「看護師として働くことに疲れ果てて渡米したのに、アメリカで看護師になりたいと思うようになった」

「NCLEXに合格してから渡米したのですが、語学留学だけではアメリカで看護師になれないと知りました。どうしたらよいですか?」

「日本で看護師だったことがアメリカで評価されると聞きました。私もアメリカで看護師としてしてみたいです」

「アメリカ人の彼と別れて、これからアメリカで一人で生きていくために看護師になって生計を立てたい」

「夫が職を失ったので、私が看護師として家計を支えたい」

「アメリカに永住して10年。キャリアチェンジして医療系に進みたいと思うようになりました」

まず、日本の看護師資格を利用してアメリカの看護師国家試験を受験申請するなら、NCLEX書類審査を通過する必要があります。その際、アメリカの看護大学に入学できる、またはそれに相当する英語力を証明します。また日本の卒業校との書類の手続きもあり、日々学びながら、さらに規制が緩和されてきたとはいえコロナ禍ということもあり、以前のように気軽に一時帰国できない今の状況では、日本とのやり取りをするのは大変なようです。

仮に、語学留学中にNCLEX受験合格しアメリカの看護師のライセンスを取得できても、看護師として働くまでのプロセス(就職活動)において、手続きに必要な経費や仕事が決まるまでの生活費など、経済的な余裕がなければ進めることは困難です。語学留学ではアメリカ国内での就労は認められていないので、アルバイトなどでお金を貯めることもできません。学費を含めたその後の資金がなければ、日本に本帰国しては働き貯金をするしか方法がないのです。

つまり、語学留学から看護留学に変更したいなら、まずNCLEX書類申請をして、合格するためには、英語力や経済力(銀行の残高証明)が必須です。

ちなみに、一度取得した学生ビザは5年間有効ですが、アメリカを離れ5カ月以内に戻って学業を開始できない場合、このビザは終了してしまいます。そうなると再渡米する際に、もう一度学生ビザ取得の面接を受ける義務がありますが、2回目の申請は面接で不利だと言われています。

アメリカで看護師として働きたいのであれば、学費などの資金を貯めることはもちろんですが、どんな方法が最も現実的で目標をかなえることができるのかということをきちんと調べておくことが重要です。語学留学は、アメリカで暮らすための一つの方法であり、目的はそれぞれ異なります。看護留学する前に利用してもよいと思いますが、内容をきちんと把握し、また将来の看護留学にどんな影響があるかということも知っておきましょう。

語学留学体験者のケース

弊社がサポートした人の中には、語学留学から看護留学に転換した人がいます。この道はとても険しく、弊社では今まで数名しかおりません。進む道は違っても、みな頑張っています。看護留学を検討している人の参考になれば幸いです。

◆ Tさん(31歳)正看護師職歴8年 

2017年の大阪セミナーに参加したSさん。2年前にフィリピンで語学留学(医療英語と日常英会話)をして帰国しました。安い受講料と滞在費だったためよいと思ったそうです。プライベートで英語レッスンを受けられるメリットはあったものの、アメリカで看護師になるというモチベーションが下がり、また思った以上に英語力が伸びず、エージェントに依頼してNCLEX申請したもののそれも途中で断念しました。それでもアメリカで看護師になる夢は諦めることができず、再度2021年12月に弊社で再カウンセリングを受けました。

フィリピンでの留学は決して無駄になることはありません。しかし、アメリカで看護師という目標を掲げるのであれば、やはりアメリカの文化も学ぶことも必要なのです。現在、アメリカで看護師を目指すために、NCLEX書類申請のやり直しからスタートし、資金を貯めながら医療会話オンラインクラスを受講中です。渡米予定は2023年3月ですが、思った以上にフィリピン留学でお金を使ってしまい、目標額までの資金が貯まるかどうか不安ということで、渡米時期も再検討しています。

◆ Nさん(26歳)正看護師歴4年 

2021年1月~12月まで1年間、カリフォルニア州サンディエゴで語学留学をして帰国したNさん。在米中に出会った留学生の彼氏のこともあって、今度は看護留学生として渡米しアメリカで看護師になりたいとのことでした。サンディエゴでは1年間コミュニティーカレッジの英語クラスを受講していました。渡米して3カ月たった頃から、アメリカで看護師になる方法を検索していたようですが、インターネットやSNSに載っていた「日本の看護師なら簡単にアメリカで看護師になれる」という情報をずっと信じていたそうです。しかし、実際にはそれができないと分かり、困って弊社に相談されたとのこと。結局、サンディエゴ留学は「遊学」になってしまったため、生活ができる基本的な英会話はできるものの、医療英語に関してはてクラスについていけないレベルです。さらに、アメリカで看護師になるためのNCLEX書類申請もしていないので、これから書類申請を開始する予定です。資金も英語力も足りない状況ですが、強く再渡米を希望されています。

◆ Dさん(30歳)正看護師歴7年 

Dさんは、2019年3月に語学留学で渡米し、同年5月に初回カウンセリングを行いました。アメリカで看護師になりたいと思い、語学留学を選んだそうです。昨年の3月に再度カウンセリングの申し込みがありお話を伺った際は、アメリカで学生をしながらアルバイト(不法就労)をして生活しているとのことでした。初回カウンセリングの時にもお伝えしたのですが、日本の看護師がアメリカで看護師になるために資金を貯めることが重要です。インターネットで検索すると、日本人が多い地域であれば、英語ができなくても日系レストランなどでバイトをしてアメリカで生活することができると書いているサイトが多かったと話していました。Tさんとは計3回のカウンセリングを行いましたが、それ以来連絡がありません。

◆ Yさん(33歳)正看護師歴9年 

Yさんは、2021年4月~7月まで、親戚が住むシアトルに語学留学していました。親戚にRNをしている人がいるので、その人から情報を得てアメリカで看護師なることを目標に渡米してきたのですが、留学生には英語力と合法的に働くためのビザ取得の壁があることを知り、3カ月間で帰国。その後2021年10月に初回カウンセリングをした際に、再度アメリカで看護師なるという夢を実現したいと相談を受けました。その後、正式にお申し込みを頂き今年2月にはNCLEX受験許可が下り、2023年3月末の渡米に向けて資金を貯めながら、医療英語オンラインクラスを受講しています。シアトルに滞在した期間が3カ月間と短かったため、貯金も残っており、再渡航までの準備期間は短くてすむようです。ただし5年の学生ビザを取得していて、2回目の申請になるのでそこは慎重に進めていく必要があります。

看護師資格取得に欠かせない「NCLEX」と「医療英語」

アメリカで看護師になりたい人の最終目標は、アメリカの病院や医療施設で働くこと。つまり就労資格を取得し合法的に看護師として働きたいという人たちがほとんどでしょう。看護留学がオペアや語学留学と大きく異なる点は、資格を取得しなければならないこと。それには、NCLEX受験許可証とNCLEXに合格できるだけの医療英語力が必要になります。

NCLEXは書類内容によっては、永住権スポンサーを見つけることができなくなるほど重要なので、最初から正しい方法で申請しなければなりません(書類不備による問題についてのコラム:看護留学・就職の落とし穴 留学前の手続きが永住権や就職に大きく影響する!知っておきたい3つの重要なポイント ~速報!NCLEX 3月より一部改定~)。

そして、実際にアメリカで働くにあたり必要不可欠なのは医療英語です。いくら学校を卒業していても同僚や患者とコミュニケーションを取れる日常会話に加え、医療専門用語を学ばないことには、結局のところアメリカで医療従事者として扱われることはないような気がします。日本で看護師として働いた経験があったとしても、やはり英語で専門用語が理解できなければ、現場で実際に働くことは難しいと思います。

どんな留学の方法であれ、看護師を目指すなら「NCLEX」と「医療英語」についてきちんと考えておくことをお勧めします。

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